平砂浦海岸・Chiba.p Dec.29
少し前、アラスカ在住のクリンギットインディアンであり、彼らの
古い物語を語り継ぐ、ストリートテラーであるボブ・サム氏の
「語りの会」に出掛けた。 西麻布のとある喫茶店に本屋を併設
した会場は、特設会場でありながら、立錐の余地もないほどの
盛況で、20代から60歳代の聴衆で賑っていた。
この手のセミナーは、よほどの事がないかぎり、出掛けることは
なかったが、ボブ・サム氏に関しては、母の遺した星野道夫氏著
(写真家)遺作になる『ノーザン・ライツ』(オーロラの意)の
エピソードの中に、彼のことが、とても感慨深く描かれていたから
であった。
アラスカ先住民族の血をひくクリギットインディアンに生まれた
ボブ・サム氏は、十代の終わりから二十代にかけてアラスカ中を
転々とし、アル中、ドラックに溺れたそうだ。 それというのも、
アメリカ政府による経済政策(新しい土地制度、自然保護)などに、
当時の先住民の若者は苦悶していたからである。
そんな中で、行き場を見失ったボブ・サム氏は、生まれ故郷の
南東アラスカに戻ることになる。 そこで出会ったクリンギット
・インディアンの古老に癒され転機を迎える。
当時 町の一部では、住宅地建設のための造成をおこなっていた。
しかも その地はロシア人の墓地であり、それ以前には千年以上に
わたりボブ氏の祖先の墓地でもあった。。
墓が掘り起こされ人骨は草むらに投げ出され、埋葬品は盗まれる。
ボブ氏 は 毎日その骨を拾っては、土に戻していった。
そんな彼の行動が大論争を起こし、ついには住宅建設が中止
されることになる。 さらには10年の歳月をかけて、見違える
ような墓地に造り変えてしまう。
そん物語がとても感動的に描かれている背景には、星野氏の
人間味ある、とてもやさしい眼差と、ボブ氏の寡黙で誠実な行いに
依るところがおおきい。 そして、読み終えるほどに癒されてしまう。
文中にある気になった一節を、、
「この世界をほんの少しずつ良いものへと変えてゆく不思議な力のことを考えていた。、、、」「"木も、岩も、魂をもって、じっと人間を見据えている”」興味のある方はぜひご一読ください。 「語りの会」に興味のある
方は、「ワタリガラスの会」を検索下さい!
画像は、昨日友人と撮影に訪れた海岸。東京湾を渡り外房にある
海岸を写したもののひとつ。
このあたりのいいところは、行楽地にないありのままの風景。
そして、すこし荒れたところがイカシテイル!!